フォーラム活動報告
Musicman-NET SPECIAL REPORT & INTERVIEW
レコーディング三者協議会(ref) 設立記念座談会 4/4page


●内沼さんは生演奏でレコーディングする機会が極めて減っているとおっしゃっていましたね。

内沼:石川さゆりさんのスタジオマスターを一枚ずつ手焼きでCD-Rにした商品が発売されているんです。2曲で8400円もするんですよ。だけどこれが売れている。200枚限定だったにも関わらず500枚以上も売れている。オーディオマニアの人が買っているんでしょうし、年齢的にも上の方が多いと思うんですが、若い人たちにこういった音の良さがアピールできるといいかなと思うんです。世の中に同じようなサウンドが氾濫しているので、生演奏主体の音楽に少しでも興味を持ってくれればいいなと思います。

椎名:我々は音楽産業全体の活性化といっても、ビジネスモデルに直接関わる立場にはいないですが、音楽制作をサポートしていく立場から提案できることは多いと思います。色々なアイデアを出していくことはできる。そういう趣旨なんだと思うんですよ。

●例えばメイド・イン・ジャパンという言葉があるとすれば、メイド・イン・ヒューマンだったり。人が作る高品質なものをアピールしていくことができるかもしれませんね。

椎名:将来へ向かって維持するべきプロフェッショナルクオリティーから色んなチャンスが生まれるわけですよね。

大野:レコーディングスタジオでも全部音が違うじゃないですか“スタジオブランド”の存在はあって然るべきべきなんですよ。

椎名:そうそう、さっき内沼さんもおっしゃってましたけど、アビーロードスタジオの様に、昔だったらアルバムにスタジオ名が書いてあって、それが訴求力になったじゃないですか。配信だとミュージシャンクレジットもなかったり、下手すると作曲家もアレンジャーも書いてなかったりするので、これからはrefのメンバーでデータを正確に記録しておきましょうということなど、どちらかといえばコツコツやっていくタイプの話しになるんですが。

大野:そうですね。例えば著作隣接権を分配するときに、カタログタイトルが必要ですが、その機能を利用して番号を入力すると、作品のクレジット情報が閲覧できるとか、そういったことを提案していくことができると思うんです。氏名表示権を持っている演奏家、エンジニアにも有意義な話しで、そういったところをつないでいくのが私たちコーディネーターの仕事だと思います。

●レコーディング情報の記録はrefならではの役割だと思いますね。まだまだ手をつけていないこと、できることがたくさんあると思うんですけど、最後に、refでどんなことができるのか、ご意見がありましたら。

椎名:シュリンクしつつある産業がお互いを守るために身を寄せたというところで終わらないために、プロフェッショナルとしての矜持を持ち続けるために、情報交換をしながらやっていく意味があると思います。ビジネスモデルは提示できないとしても、ビジネスモデルに付帯するバックボーンは提供できますので、そういった分野で関わっていけると思います。

大野:コーディネーターの立場からは、何年かかるかわかりませんが、ルールを作ることが大事だと思います。今まであったものを壊すことはないと思うんですけど、それに肉付けしていって、今の時代に合ったルールを作っていこうと。それをクライアントの方々に提案するということが第1歩かなと思っています。

内沼:レコーディングスタジオは、ビジネスとして世の中の標準から外れてしまっていた部分があります。そういった部分が少しでも他業種と同じようなルールに近づきたいと思いますね。スケジュールにしても「決定」なのか、「仮押さえ」なのか。言葉の定義も存在しない状況なので、それらのことにひとつずつ向き合っていければいいかなと思います。

大野:そうすれば私たちがミュージシャンの方々をブッキングするときも、その「定義」に合わせようかな、ということになってくると思いますね。

椎名:「キャンセル料はこうです」と発信するとかも、状況を見ながらやっていけたらいいと思います。クライアントに根拠を求められた時に「refで定めている事です」と言えるのも、こういう枠組みのいいところだと思うんですよね。

大野:協定的なものは、共通の利害がないので、提案しやすいと思います。

●初代のref議長には椎名さんが就任されたわけですが、新しい団体を立ち上げることの意義はどうですか?

椎名:refは団体というよりは枠組みです。お互い情報交換しながら風通しを良くしていって、時には言い争える環境ができたことが素晴らしいと思うし、運営も持ち回りなので、3団体それぞれのキャラクターが出て面白いことになるんじゃないかと思いますね(笑)。大変なのはこれからですよ。

●そうですね。今日はお忙しいところありがとうございました。

[ 3ページ目へ ]
| 1 | 2 | 3 | 4 |